井上夢人 ラバーソウル

井上夢人恩田陸は面白いのは面白いんだけど、幻想的すぎたりで外す作品もちらほらあるなぁという印象だったので不安半分で読み始めた。冒頭が何となくオシャレ感あふれるというか、音楽や乗り物といったガジェットの薀蓄が入ったり、鬱陶しさが少し目に付く印象。春樹みたいなオシャレ感に溢れた文章だと辛いなぁと読み進めると、思った以上に引き込まれる。まずは事件の内容が語られないままに関係者の証言が混じり合う形で話が進んでいき、やがて事件へたどり着き、さらに話は展開していくといった感じ。湊かなえの告白のような印象を受けた。最初のオシャレ感というか違和感も狙ってのものだし、構成が非常に上手い。ちょっと狙いすぎかなとも思うけど、良くできた話だった。