CE規格あれこれ

タイチのジャケット内蔵脊椎プロテクターがモデルチェンジしたときにタイチの人に聞いたのも含めてあれこれ。ざっくりと肘や膝はソフトプロテクターがCE規格に対応しやすく、背中は広い面積で衝撃を受けるような形でないと難しいと言っていた。それだけじゃ良くわからない話だったので、自分でざっくり調べてみた。http://en.wikipedia.org/wiki/Motorcycle_armor を参考に。
CE1621-1は膝と肘などの規格で、R=50mmの半球状の先端を持つ測定器にサンプルを乗せて、その上から打撃面が30x40mmで5kgの重りを運動エネルギーが50Jとなるように落として、測定された力が35kN以下だとLevel1、20kN以下だとLevel2となる。センサーの先端は肘や膝を想定した形状で、比較的測定器先端の半球面と重りの底面全体でサンプルを押し潰すように力がかかることから、力を分散させる必要はなく、ほぼ衝撃吸収力だけが考慮されるため、基本的にはソフトプロテクターしか適合しない。これがおそらくジャケット内蔵タイプにCE対応のものが多く、外付けの肘膝プロテクターではCE対応が少ない理由。実際にはハードタイプのプラのでも、内側に少しはクッションが入っているし、肘や膝といった最初にぶつけやすい部分を滑らせて守る効果はあると思う。
CE1621-2は背中のみの規格。高さ190mm、半径100mmで先端がR=150mmの丸みを持った円柱状の測定器にサンプルを乗せて、底面160x50で高さ30.8mmの先端がR=12.5mmの丸みを持った三角柱状の重りを落下させ、CE1621-1と同様の試験を行う。測定器先端の丸みは背中のカーブを想定していると思われる。測定された数値が18kN以下でLevel1、9kN以下ででLevel2、CE1621-1と比べると数値が厳しいのは測定器先端の面が広いので面全体で受けられれば衝撃吸収の上で有利だからだろうか。重りの先端の丸みは刃物のように鋭利にならないように考慮され、どちらかと言うとパイプとかがぶつかったのを想定していると思われるが、それでも線の形に押し潰すような形で力が集中するので、まず力を線から面に分散させる必要がある。その上で衝撃を吸収しなくてはならない。そのため背中のプロテクターはハード+ソフトというような組み合わせの物が多くなるようだ。ハードと言っても一枚板の硬いプラスチックでは動きを阻害してしまうので、うろこ状に重ねたり、固めの軟質素材を使ったりと工夫している模様。
胸部のプロテクターを想定したCE1621-3がドラフトであるらしいが、測定方法は分からなかった。今は胸部プロテクターでCE対応を謳ったものは、とりあえずCE1621-2を胸部にも適用しているものがほとんどのようだ。厳密には脊椎と胸骨、肋骨の機能や性質の違いから求められる性能は違うのだろうけど、ひとまず面で受けて衝撃を分散し、吸収できれば問題ない気はする。ちゃんと規格が決まったらまた製品の更新があるのかも。
大雑把に調べたので実際には違うかもしれないけど、概ねこんな感じかな。やっぱり色々と考えて作ったいるのだろうから、規格に対応したのを選んだ方が安全だろう。とはいえ、実物の製品で測定しているのか、構成している部品単位で測定しているのかはよくわからなかった。装着してずれないかとか、そういった実際の利用に則した形の規格も作ってほしいものだ。複数の基準があるのは悪いことではないので。