少女神域∽少女天獄 ★

終わった。残念ながら今回はLass作品の中でも最も不出来なのではなかろうか。結論を先に書くと、短い、謎も何も解決しない、共通部分がほとんど、キャラの魅力を出せていない、救われない。思わせぶりなセリフや傍点付のテキストばかりで主人公=プレイヤーは置いてけぼり。マルチ視点で群像劇的な表現を狙ったのかもしれないが、これも主人公の疎外感を増す方向に作用しているだけに思える。とにかくユーザが求めるものからは著しく乖離しているのではないか。Festaや蒼青やってるとそうでもないが、3daysと11eyesのイメージで見るとLassは魔法と超能力のバトルものとして本作は期待されていたのではないかと思う。しかしその期待を裏切って、特にバトルの要素はなく、ちょっとだけ戦うくらい。CG的には剣を振るうよりもカットで入る猟銃を撃つシーンの方が多い。バトルよりも各家の思惑というか陰謀めいたところばかりで話が進む。Lassらしさを探すとしたら鳥大好きなところくらい?
3daysや11eyesは日常シーンでのヒロインの魅力を出せていたと思うが、本作は全くヒロインの魅力を出せていない。序盤からヒロインたちは内情を知っていて主人公に接してくるので距離を感じさせるし、ヒロイン同士の関係も各家の立ち位置を反映してぎくしゃくしている。途中で唐突にみんな主人公が好きなので仲良くしましょうとか言い出して仲直りするけど、全く展開についていけない。常に主人公は蚊帳の外で、プレイヤーも置いてけぼりにされる。祥那はみんなのマスコット的な立ち位置でやっぱり蚊帳の外だけど、そのせいか他のヒロインとは立ち位置が違ってエロシーンも凌辱オンリーだし、祥那エンドがなぜかグランドエンディングだという。ヒロイン個別ルートは分岐した後もデートしたりED直前で個別のテキストが存在するくらいで展開は全く同じ、差別化はほとんどできていない。なぜ祥那エンドがグランドエンディング扱いなのか、終わり方を見れば分かるが納得はできない。まあ納得できないことだらけだから気にしても仕方ないのかも。キーアイテムのようなものは特に重要ではなかった。
絵は今までのLassの作品では一番まとまってるかな。原画家ごとのイメージの差異は少ない。爺婆は塗も違うので浮いてるけどね。それは置いておいてヒロインはまあ可愛い。CGの枚数はごく少ない。話が短いし個別パートは少ないので仕方ないのかもしれないが、昨今のロープライス作品にも劣る程度。エロシーン含め差分もごく少ない。バッドエンドのCGはヒロイン部分差し替えの差分だしやっぱり手抜き。あ、ノーマルエンドも通常イベントの差分だったわ。
音楽は悪くない。シーンに合った曲を入れていると思う。曲数も多分普通。OPとEDは良い方だと思う。グランドEDってなんだよって思ったら祥那エンドだった。え?って思った。
エロシーンは最近には珍しく少ない。ここでもテキストも短い。愛莉を除いて各3つ、愛莉に至っては2つしかない。しかも3つのうち2つは暴走する主人公を鎮めるためでなんか違う。祥那は3つのうち2つが欲望を抑えきれない主人公が襲い掛かるもので選ぶとバッドエンド直行の回収選択肢だし。もう何これ状態。
システムはまあまあ充実。スキップはそこそこの速度で、次の選択肢までのスキップもある。ただ次の選択肢へは描画しないだけの高速スキップらしく、通常のスキップと大差ない時間がかかる。未読テキストが来るとちゃんと止まる。描画は重くないと思うが、猟銃のシーンは変にウェイトがかかっていてチャキ、ドーンみたいに溜めが入るのにやたらと撃ちまくるのでストレスがたまる。まあ、そのあたりのシーンは2回目以降のプレイではすべてスキップの対象だけど。システムそのものは悪くないのだろうけど演出は悪い。どのキャラを選ぶかという選択肢だけで分岐するので分かりやすいのは良いかも。
プレイする価値を見出すのが難しいくらいにダメなところばかりが目立つ。設定倒れ以前の問題で、これまでのLassのダメなところとはなお異なるダメさを持っていた。作った側がこれで納得似ているのかを知りたい。話や設定やキャラ配置が何かに似ていると思ったら痕だった。