垣根涼介 午前三時のルースター

何となくハードボイルドな作品。主人公が旅行代理店の社員なのにやたら切れ者で色々なものに造詣が深い。登場人物がやたらとディフォルメされていて、人間らしさを感じない、物語の中のキャラクターとして描きすぎている感がある。時に人間くさい人物すらも、それはそれで人間らしさを強調しすぎているんだよね。そのせいで感情移入できる話ではないが、エンターテインメントとしては良作。配役的に源内は死ぬのかなぁと思ったんだけど、特にそういうこともなかった。途中から、というかほとんど序盤のベトナムに着いたあたりからなんとなく黒幕が分かるんだけど、組織にまつわる部分は楽しく読めた。
ただ、良作の娯楽小説というだけで、読み終わって特に残るものはないね。