いろとりどりのセカイ

ヒロイン4キャラ攻略後に最終ルート開放というよくある構成。共通ルートが結構長く、キャラ別のあとに真紅ルートと全部で20時間弱くらいと大作というほどではないけどボリュームもあって楽しめた。キャラ別以降は程良く緊張感があるままに進むし、ヒロイン達と恋をすることで真紅が消えるあたりは演出も良かった。それを越えての真紅ルートはこれまでから一変した展開の解決編で、どうしてこのようになっているかも分かるので、構成はしっかりしていると思った。主人公が忘れやすいことから魔法の設定、真紅の存在、何もかもちゃんと意味を持たせて関連付けをして、ちょっと過剰なくらいではあるけど、きっちりと作ろうという意気込みを感じる。最果ての古書店は存在ありきになってしまうのは仕方ないとして、星メモに比べても曖昧なところを少なくしていて好感触。
絵はとても良かった。原画陣がどれも好みなのもあるが、塗りも特徴的で良い。最初見たときは違和感あったが、それは星メモのときもそうだったし、Favoriteはいつもそうだね。ディフォルメも絵かきは変わったけど可愛い。イベント絵は違和感のある構図も多かった。でも概ね可愛いし、可奈の海のCGとか胸チラの真紅とかは特に良い。背景も綺麗で丁寧。一枚絵の背景は一部わざとやってるようなうき方をしているのもあるけど。星メモの時もそうだったけど、背景真っ白の絵は特に印象的で綺麗で使いどころが上手い。
声は全体的に違和感。ちょっとわざとらしい感じが拭えなかった。真紅と澪がそういう印象が強かった。可奈とつかさは好きなので、このあたりは好みの問題かも。音楽は印象強すぎて違和感があった。シーン以上に緊迫感があったり、颯爽解決!みたいな印象が強すぎたり。シーンの主が音楽になっているのはいただけない。音楽単体では良い曲が多いし、曲数も多いのはとても良いと思うのだけど、あくまでも音楽は絵と文章に対して従であってほしい。OPはクラナドすぎる。EDもちょっとEuphoniusの印象が強すぎる。グランドEDは良かった。
Favoriteのシステムはシステム画面やチップ配置などデザインはとても秀逸で見た目に綺麗なのだが、拡大モードがすぐオンになってしまって戸惑うことが多い。それを除けば全くと言って良いほどに不満のない優秀なシステム。多様な画面効果は重くなく表現性が高い。メッセージ速度の調整も細かくでき、オートはセリフ部分とモノローグを分けて設定できるのが非常にありがたい。文字送りとページ送りの秒数調整まで出来るとなお良かったが、これでも十分に読みやすい。スキップも既読スキップと別にCtrlでの強制スキップが設定できて良い。セーブ箇所は多く、シナリオの長さからすると十分。選択肢の数からしても十分すぎる。最終セーブのページ記憶があるのに加えて、常に最新のセーブとクイックセーブが選べるようになっているし、オートセーブも用意されていて至れり尽くせり。テキスト色のキャラ別設定も必要な機能ではないが見やすくて良い。サウンド周りの調整項目も多く、テキスト非同期で再生を止めないのもちゃんと選べてありがたい。
星メモほど評判は良くないようだが、個人的にはこちらの方が出来は良いと思う。きっちりまとまっていて真紅がメインヒロインという立ち位置になるけど、他のキャラとの付き合う余地も残しているし、星メモみたいに同人での展開があるなら、全員のドタバタも見られそうで期待が膨らむ。ただ不満があるとすれば、つかさのおっぱいの神様押しにまで意味を持たせなくても良かったのに。どんな伏線だよ。